小説: 2008年5月アーカイブ

4022738235騙し屋ジョニー 魔界都市〈新宿〉 (ソノラマノベルス) (ソノラマノベルス)
菊地 秀行

朝日新聞社 2008-03-21
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菊地秀行の物語に出会ったのは高校一年生の頃だろうか。
『エイリアン秘宝街』に驚き、あわてて本屋に走った。
『吸血鬼ハンターD』と一緒に買ったのが『魔界都市<新宿>』だった。

その後の菊地秀行を読んでから読み返せば、
『魔界都市<新宿>』はちょっと甘い。
菊地秀行自身も「優等生的なジュブナイル」と言っているくらいだ。

けれど、その主人公・十六夜京也の甘さが私は好きだ。
非道な魔道師の手に落ちた人々の魂を前に彼が叫ぶひとこと、
「おれの名は十六夜京也──いまはじめて、貴様の敵にまわる」に
しびれたことを二十数年経ったいまでもはっきりと憶えている。

その『魔界都市<新宿>』に新作が出たので、さっそく買って読んでみた。
新宿はあのとき描かれた新宿のまま、京也はちょっと性格が変わっている。

物語はいつものように二転三転しながらするすると進む。
敵は世界的なテロリスト、というところがちょっと新しめだろうか。
最後の一文に余韻がないところが悲しいけれど、
たしかにこれは『魔界都市<新宿>』である。

あの<新宿>をもう一度読みたい方にだけおすすめする一冊。
4062145901流星の絆
東野 圭吾

講談社 2008-03-05
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十四年前に起きた殺人事件。
両親を奪われたのは兄、弟、妹の三人きょうだい。

世間はそんな三人に優しくもなく、
やがて三人はある結論に達する。

だまされるのが悪い。

三人がだます側に回って数年が経ち、
最後の標的に選んだのはひとりの男。

その男の父が○○かもしれない?

というところからおもしろくなってくる物語だ。
帯にはいろいろ書かれてしまっているので、
読んでみようという方は帯を見ないように。

東野圭吾の小説をずっと読んでいる身としては
刑事に化けた登場人物のひとりが「加賀」と名乗るところで
にやりとしてしまった。

いつものように、終盤には意外な事実が現れる。
終わり方が甘すぎるような気もしないでもないけれど、
さすが東野圭吾というところだろうか。
4104596035ゴールデンスランバー
伊坂 幸太郎

新潮社 2007-11-29
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第5回本屋大賞を受賞する前から気になっていた一冊。
500ページを読むのにどれくらいかかるかなあと思っていたら、
一日で読み切ってしまった。

首相暗殺の犯人にされてしまった男はどうなるのか?

これが主題なのだけれど、構成がすばらしい。
五部構成なのに、主人公の青柳雅春が出てくるのは第四部から。
ページ数でいえば、はじめの70ページほどは周辺を描いているだけだ。

しかも各部のタイトルは以下のとおり。
「事件のはじまり」
「事件の視聴者」
「事件から二十年後」
「事件」
「事件から三ヶ月後」

青柳雅春が現れる前に二十年後を語られるとはさすがに驚いた。
もっとも、そこまで周辺を語られたうえで事件を描くからこそ、
ひと息に読んでしまう物語になったとも言える。

伊坂幸太郎の小説らしく、一場面しか出てこないような人たちにも
きっちりとした味がある。
そして、終盤になっていろいろとつながっていく嬉しさ。
最後の場面は快感とさえ言えるんじゃないだろうか。

展開が読めたところもあれば「そう来るか」と思ったところもある。
私としては、青柳雅春と父との関係が強く印象に残った。
信じるとか信じないというレベルではない関係ってうらやましいな。
4043721056バッテリー〈5〉 (角川文庫)
あさの あつこ

角川書店 2006-06
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楽しみにしているシリーズだからこそ、読みたくてたまらないときに読みたい。
こんなへそ曲がりの気持ちで未読本の山に積んでおいたら、
買ってから二年も経ってしまった一冊。

とっくの昔に完結巻の6巻も出ているので、そろそろ読んでみた。
やはり、おもしろい。

ピッチャーの孤独もキャッチャーの孤独も描かれている。
何かに、誰かにのめり込んでいく自分を恐れる気持ち。
周りの人たちとうまくやれないことへのいらだちや不安。
遠く十代の頃に感じたものを懐かしくも思いながら読み進めた。

暖かい時期に読むよりは少し寒い頃に読むのが似合っている物語だ。
舞台が北の町だからというだけではなく、その方が伝わるものが多い。
そんな気がする。

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