「R25」に隔週連載されている石田衣良の「空は、今日も、青いか?」を
毎回楽しみにしている。
今回は中国四川省の地震の話。

あの地震のあと、情報が少なかったので、彼にしては珍しくネットの
掲示板をあちこち覗いてみたらしい。
そこで、心の底からがっかりしてしまったそうだ。
今回の地震に快哉を叫ぶような書き込みが、たくさんあった。

あの餃子の事件やチベット自治区での鎮圧、その他いろいろと中国に
対して改善すべき点があると主張することはいい。
実際、私も「なぜそこまでやるのだろう」と思うことがある。

けれど、だからといって中国で大地震が起きたことを喜ぶことができるのは
不思議だ。
好きな女の子に振られたからといって、女はみんなつらい目に遭えばいい、
なんて思わないだろう。
一匹の犬にかまれたからといって、すべての犬は危険だと叫ぶのだろうか。

中国人とか韓国人というラベルを貼り付けて、ひとりひとりの顔を見ないように
している。
そんな気がしてならない。

もちろん、だめなやつはいるかもしれない。
けれど、それは日本人だって同じことだ。
いい人もいれば、いやなやつもいるのは当たり前なのでは。

いまの状態は「森を見て木を見ず」だと思う。
こんなときこそ「木を見て森を見ず」でいたいものだ。
478592828XPRESENT FOR ME石黒正数短編集 (ヤングキングコミックス)
石黒 正数 

少年画報社 2007-08-03
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石黒正数のまんがを読むのはこれが初めてだ。
「SFが読みたい!」2008年度版で紹介されていたので、試しに買ってみた。

デビューした頃からの短篇を集めているからか、絵は安定していない。
アイディアはなかなか光るものもある。

「収録作品への想い」で石黒正数自身も書いているけれど、
気合いを入れて書いただけあって、表題作がずば抜けていい。

文明がほぼ滅び去った時代、ひとりの少女が一機のロボットと出会う。
彼はどうやら壊れかけているらしい。
修理をするために彼の家へ急ぐひとりと一機。

修理もそこそこに、ロボットはある作業を始める。
ここで彼の名前も明かされる。
終盤の六ページがなんともせつない。
4022738235騙し屋ジョニー 魔界都市〈新宿〉 (ソノラマノベルス) (ソノラマノベルス)
菊地 秀行 

朝日新聞社 2008-03-21
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菊地秀行の物語に出会ったのは高校一年生の頃だろうか。
『エイリアン秘宝街』に驚き、あわてて本屋に走った。
『吸血鬼ハンターD』と一緒に買ったのが『魔界都市<新宿>』だった。

その後の菊地秀行を読んでから読み返せば、
『魔界都市<新宿>』はちょっと甘い。
菊地秀行自身も「優等生的なジュブナイル」と言っているくらいだ。

けれど、その主人公・十六夜京也の甘さが私は好きだ。
非道な魔道師の手に落ちた人々の魂を前に彼が叫ぶひとこと、
「おれの名は十六夜京也──いまはじめて、貴様の敵にまわる」に
しびれたことを二十数年経ったいまでもはっきりと憶えている。

その『魔界都市<新宿>』に新作が出たので、さっそく買って読んでみた。
新宿はあのとき描かれた新宿のまま、京也はちょっと性格が変わっている。

物語はいつものように二転三転しながらするすると進む。
敵は世界的なテロリスト、というところがちょっと新しめだろうか。
最後の一文に余韻がないところが悲しいけれど、
たしかにこれは『魔界都市<新宿>』である。

あの<新宿>をもう一度読みたい方にだけおすすめする一冊。
4403618960丘の上のバンビーナ (WINGS COMICS)
鈴木 有布子 

新書館 2008-03
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小学二年生のひな子には大切な家族がいる。
彼女の名はバンビーナ。
ひな子と同じくらいの大きさの犬だ。

ひとりと一匹──というよりふたりと呼ぶ方がしっくり来るか──はとても仲がよくて、
いつもひとつのベッドで寝ている。
そんなある日、目ざめてみたら......私がバンビーナで、バンビーナが私!?

という入れ替わりのお話。
アイディア自体は新しくないけれど、犬と人が入れ替わるところがいい。
バンビーナの人間LOVEなところがときどき泣かせる。

全六話の連作なのだけれど、第三話の冒頭がなぜか印象に残った。
季節は夏、ひな子と秋津先生がただ出会うところなのだけど、
ほんとに夏を感じる一ページだ。

書き下ろしの短篇がふたつ巻末に収められていて、
ここを読むと話の終わり方もすっきりする。
犬が好きな人だけでなく、誰にでもすすめられる一冊。
4495579312秘書が教える!ビジネスマナー (DO BOOKS)
花野 蕾 

同文館出版 2008-04
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花野蕾さんのメールマガジンを愛読している。
といっても、この本の元になった 「社長秘書!魅惑のオフィスマナー」 ではなくて
 「見ちゃダメ! 男子禁制~秘書たちのナイショ話」 の方なのだけど。
もしかして、ばれたら叱られちゃうんだろうか。

mixiでマイミクに加えていただいてもいるので、
何度かコメントやメッセージのやりとりをしたことがある。
そのときの印象は背筋のすっと伸びたひとだなあ、というもの。
凛としている、と言い換えてもいいかもしれない。

そんな彼女が書いた『秘書が教える!ビジネスマナー』は
狭い意味でのマナーを教える本ではない。

社会人として世に出るときに身につけなければならないマナー、
ものの見方や考え方、仕事の進め方までを教えてくれる一冊だ。

読み進めていくと、いまの自分に欠けているものが見つかって、
ちょっと汗をかいたりもして。

この本をテキストにセミナーが開かれるんだったら、ぜひ受講したいところ。
4062145901流星の絆
東野 圭吾 

講談社 2008-03-05
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十四年前に起きた殺人事件。
両親を奪われたのは兄、弟、妹の三人きょうだい。

世間はそんな三人に優しくもなく、
やがて三人はある結論に達する。

だまされるのが悪い。

三人がだます側に回って数年が経ち、
最後の標的に選んだのはひとりの男。

その男の父が○○かもしれない?

というところからおもしろくなってくる物語だ。
帯にはいろいろ書かれてしまっているので、
読んでみようという方は帯を見ないように。

東野圭吾の小説をずっと読んでいる身としては
刑事に化けた登場人物のひとりが「加賀」と名乗るところで
にやりとしてしまった。

いつものように、終盤には意外な事実が現れる。
終わり方が甘すぎるような気もしないでもないけれど、
さすが東野圭吾というところだろうか。
4104596035ゴールデンスランバー
伊坂 幸太郎 

新潮社 2007-11-29
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第5回本屋大賞を受賞する前から気になっていた一冊。
500ページを読むのにどれくらいかかるかなあと思っていたら、
一日で読み切ってしまった。

首相暗殺の犯人にされてしまった男はどうなるのか?

これが主題なのだけれど、構成がすばらしい。
五部構成なのに、主人公の青柳雅春が出てくるのは第四部から。
ページ数でいえば、はじめの70ページほどは周辺を描いているだけだ。

しかも各部のタイトルは以下のとおり。
「事件のはじまり」
「事件の視聴者」
「事件から二十年後」
「事件」
「事件から三ヶ月後」

青柳雅春が現れる前に二十年後を語られるとはさすがに驚いた。
もっとも、そこまで周辺を語られたうえで事件を描くからこそ、
ひと息に読んでしまう物語になったとも言える。

伊坂幸太郎の小説らしく、一場面しか出てこないような人たちにも
きっちりとした味がある。
そして、終盤になっていろいろとつながっていく嬉しさ。
最後の場面は快感とさえ言えるんじゃないだろうか。

展開が読めたところもあれば「そう来るか」と思ったところもある。
私としては、青柳雅春と父との関係が強く印象に残った。
信じるとか信じないというレベルではない関係ってうらやましいな。
4088597079バーテンダー 11 (11) (ジャンプコミックスデラックス)
城 アラキ 長友 健篩 

集英社 2008-05-02
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バーと呼ばれるところで酒を呑むことを知ったのは数年前のことだ。
もともと居酒屋でつまみの味を批評しながら呑んでいるのが好きなので、
バーにはまるで足が向かなかった。

たまたま地元で知り合った呑み友だちに連れていかれ、
ジンバックとモスコミュールを呑んだ。
その記憶が薄れないうちに、近くに新しいバーが開店したことを知り、
何人かの呑み友だちとそこへ出かけることに。

雰囲気が気に入って、気ままに通うようになった。
週に何度か訪ねたこともあれば、二ヶ月ほど顔を出さなかったことも。
扉を開けたとき、世界がくるりと表情を変える。
そんなところに惹かれているのかもしれない。

『バーテンダー』は書名のとおり、バーテンダーを描く物語だ。
時にはおどけ、時には泣きごとも言う主人公・佐々倉溜。
けれど、カクテルを作るときの横顔は......。

どんなものにもドラマはあるけれど、酒というのはいい題材だ。
私だったらどんな物語が作れるんだろうか。
読みながら、いつもこんなことを考えている。

出てくるカクテルがうまそうに見えるのも魅力のひとつ。

「シャンディ・ガフ」「A1」「ウィスパー」「ボイラーメーカー」
「サー・ウォルツ」「スティンガー」「照葉樹林」「楊貴妃」

11巻ではこんなカクテルが。
ビールが苦手な私にはシャンディ・ガフなんて絶対無理だと
思っていたけれど、そのうち頼んでみようかとさえ今夜は思う。
4043721056バッテリー〈5〉 (角川文庫)
あさの あつこ 

角川書店 2006-06
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楽しみにしているシリーズだからこそ、読みたくてたまらないときに読みたい。
こんなへそ曲がりの気持ちで未読本の山に積んでおいたら、
買ってから二年も経ってしまった一冊。

とっくの昔に完結巻の6巻も出ているので、そろそろ読んでみた。
やはり、おもしろい。

ピッチャーの孤独もキャッチャーの孤独も描かれている。
何かに、誰かにのめり込んでいく自分を恐れる気持ち。
周りの人たちとうまくやれないことへのいらだちや不安。
遠く十代の頃に感じたものを懐かしくも思いながら読み進めた。

暖かい時期に読むよりは少し寒い頃に読むのが似合っている物語だ。
舞台が北の町だからというだけではなく、その方が伝わるものが多い。
そんな気がする。
4091316700坂道のアポロン 1 (1) (フラワーコミックス)
小玉 ユキ 

小学館 2008-04-25
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ちょっと前に小玉ユキを知った。
たまたま買ったまんが雑誌に読み切りが載っていたのを読んだのだ。

単行本は出ていないのか検索してみたら、ちょうど発売月。
それから既刊を買いまくり、この新刊を楽しみにしていた。

1966年、おそらく長崎と思われる町。
ここで西見薫と川渕千太郎が出会うことから物語は始まる。

「眼鏡をはずすとなかなかきれいな顔」をした西見くんと
「札つきの不良」の千太郎にクラス委員の迎律子もからんで
描かれるのはやや甘酸っぱい高校生活だ。

まだ始まったばかりなので大きな展開はないけれど、
ジャズ、教会、海、風、陽光、そして恋。
キーワードを並べてみるだけで期待が高まる。

巻末に収められた「種男」も味わいのある短篇。
ほんと、不思議な話をするりと描くのがうまいなあ。